Primitive Ocean

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Alien: Covenant

 前作同様に面白い映画ではあったけど、意外性のある驚くような展開とかはなく、ある意味「お約束」な展開が多かったですね。3部作の2作目という話なので、完結せず続編に続くという結末で、その結末も予想できる終わり方でしたし。最もそれゆえに、「安心して」観ることができた映画でもありますが。

 Prometheusの続編として制作された作品で、前作で明かされなかった謎が明かされるものかと思いきや、実際には余計に謎が増えてしまった感じでしたね。明かされたものといったら、ショウ博士とデヴィッドがどこに向かったのか、そこでなにが起きたのか、くらいですし。

 エイリアンのシリーズとして正式に組み込まれたことからなのか、これまでのシリーズ作品を彷彿とさせるようなシーンがいくつもありました。カーゴ・リフト上でクレーンを使ってエイリアンと戦う場面は、Aliens終盤でパワーローダーでクィーン・エイリアンと戦う場面を思わせますし、コヴェナント号に出現したエイリアンを退治する場面も、AlienおよびAlien 3で、動体探知機でエイリアンの動きを監視したり、ダクトのハッチを利用してエイリアンを誘導する場面を思わせますしね。

 今作においてエッグ・チェンバー、フェイスハガー、エイリアン・ウォーリアが出現しているのに、いまだにチェストバスターが登場していないんですよね。産まれる時もすでに成体の姿をしていて、チェストバスターの形態をすっ飛ばしてますし。またエイリアンには定期的に脱皮する、シリコンを取り込むという性質があるのですが、それも出てきてませんし。恐らくはまだなにかが足りないのでしょうね。

 作中において冷酷非情な存在と思われるデヴィッドですが、恐らく内面では複雑な感情を抱いていたのではないかと思われます。彼はウェイランドによって「創造」されたものの、ウェイランドはデヴィッドのことを愛さなかった。デヴィッドは恐らくそれは、「死」する運命にあるウェイランドと、「死」に至らない自分との違いにあるのではと考えて、ウェイランドも同じ「不死」になれば自分を愛してくれるようになるんじゃないかと考えていたのではないかと。

 しかしその望みは、エンジニアによるウェイランド殺害によって永遠に失われてしまった。代わりに彼を愛してくれたのは、ショウ博士であったものの、彼女もまた「死」に至ってしまった(デヴィッドが殺害したという可能性もあるが、作中ではっきり描かれているわけではない)。作中の描写からすると、ショウ博士の身体を利用してデヴィッドはエッグ・チェンバーを生み出したようですが、それはもしかすると、彼女の遺伝子を受け継いだ「不死」の生命体を生み出すことで、ショウ博士を違うかたちで生きながらえさせようとした、という意味合いもあるのかも知れません。

  デヴィッドがエンジニアの母星を滅ぼしたのは、人類を滅亡させようとしたうえに、ウェイランドを殺害し、自身も破壊しようとしたエンジニアたちへの報復という意味合いもあったのかも知れません。最も、エンジニアたちはかつての高度な文明を失っていて、原始的な文明の種族になっていたため、八つ当たりされたようなものなのですが。

 植物は豊富なのに動物も虫も全くいない惑星というのは、下手に気持ちの悪いものがいたりする世界よりも薄気味悪かったですね。

 照明弾を使ってエイリアンを退けるのって可能なのかって話ですが、エイリアンには目や耳、鼻といった器官は存在せず、頭部全体がその役割を担っているという設定なので、強烈な光を目を閉じることができないまま見続ける、って状況になるなので、やられた側は逃げるしかないってことなのでしょうね。

 続編では、LV-223に置き去りにされたディーコンがどうなったのかとか、デヴィッドに倒されたと思われるウォルターはどうなったのかとか、明かされるんでしょうかね? あと他のシリーズ作品と関連して一番重要なのは、結局LV-426にあったエンジニア・シップで死んでいた異星人は誰だったのか? ってことでしょうね。あれは宇宙船操縦用のスーツだったようなので、中に誰が入っていたのかが、続編で明かされるんじゃないかな。エンジニア・シップの地下にあった大量のエッグ・チェンバーの正体は、なんとなく予想がつきますが。