Primitive Ocean

 長文になる時用のブログ。

アリシアは本当に悪女だったのか?(その4)

その3から続く。

 さて魔王山に連れ去られたアリシアだが、実は魔王の計画に気付いていた可能性がある。

 オルステッドは夢の中で、今まさに魔王に迫られようとしているアリシアの姿を見るのだが、この時アリシアは「来ないで!」と言っているのである。

 この言葉、目の前にいる魔王に対して言っているとするとなんとなく不自然である。今目の前に魔王がいて、その魔王に恐怖を感じているのであれば、この場で相応しいのは「近寄らないで!」とか「助けて!」とかになるはず。しかしこのアリシアはなぜか「来ないで!」と言っているのである。

 アリシアが同じ言葉を発する場面がもう一か所ある。それが、魔王山の山頂でオルステッドに叫ぶ時である。この時は近寄ろうとするオルステッドに拒絶の意味で使っているので、それほど不自然には感じない。

 同じ言葉をあえて使っていて、一方は不自然で、もう一方は不自然には感じない。私は実はそこに、なんらかの意味があるのではないかと考えた。

 私は、実は夢の中のアリシアは、目の前の魔王に対して言っているのではなく、オルステッドに呼びかけていたのではないか考えている。つまりアリシアは、オルステッドが魔王山に来れば、魔王の計画が完成されてしまう。だからオルステッドに魔王山に来てはいけないと警告していたのではないだろうか?

 

 さてストレイボウの豹変についてだが、これも実は魔王が絡んでいたのではないかと考えられる。魔王山深部にいた『魔王』は、オルステッドらによって倒される。しかしここでもまた、『魔王』は完全に倒されることはなく、そのまま精神体のような姿になってストレイボウに憑依、あるいは精神に影響を与え、ストレイボウの中に溜まっていた負の感情を刺激して、裏切りを促していたのではないだろうか?

 そしてストレイボウの死後、今度はすぐさま魔王はアリシアの負の感情を刺激してアリシアを自害させる。上記の通りアリシアは、魔王の計画に気付いていた可能性があるが、ストレイボウに同情していたことも確かで、暴走した負の感情に耐え切れずに自害してしまう。これで魔王の計画は完成し、最後に絶望のどん底に堕ちたオルステッドに魔王が憑依して同化、オルステッド魔王オディオとして覚醒する。

 これが中世編にいた魔王が起こした惨劇の真相だったのではないだろうか?

その5に続く。