アリシアは本当に悪女だったのか?(その1)
伝説のRPGとして名高いLIVE A LIVEが7月にリメイクされると知って、当時から考えていた疑問と自分なりの回答についてまとめてみました。それは当時、多くのプレイヤーに衝撃を与えた中世編、そのヒロインであるアリシア、そしてそもそも中世編では一体なにが起きていたのかについてです。
なお当然のことながら完全にネタバレしているので、未プレイの方は注意してください。特に中世編は、なにも知らない状態でプレイした時の衝撃が凄まじいですし、できればネタバレを見る前にプレイしてほしいので。
アリシアはよく、スクウェア3大悪女などと不名誉な呼ばれ方をしており、実際に作中での行動を見ると、特にオルステッド側の視点で見た場合、悪女と呼ばれても仕方がないことをしでかしてる。
ルクレチア王国で行われた武術大会で優勝した主人子のオルステッドは、王女であるアリシアに求婚し、その申し出は快諾され、2人は婚約する。だがその夜、2人がバルコニーにいる時に、突如襲来した魔物によって、アリシアは魔王山へと連れ去られてしまう。
アリシアを連れ去った魔物が、20年前に勇者ハッシュによって倒されたはずの魔王の手先に違いないと国王から言われたオルステッドは、自分がアリシアを救出すると宣言し、親友のストレイボウ、隠居生活を送っていた勇者ハッシュと、そのかつての仲間である僧侶ウラヌスらともに、魔王山に赴き、激闘の末その深部で魔王を倒す。
だがその倒したその魔王をハッシュは「魔王ではない」と断言し、病に侵されていたハッシュはその場で息を引き取り、その直後に起きた落盤でストレイボウも死亡、アリシアも見つからないままオルステッドとウラヌスは魔王山から帰還する。
その夜、王城でオルステッドは魔王らしき影を目にして倒しますが、それは実は魔法によって姿を変えられていたルクレチアの国王で、王殺しをしてしまったオルステッドは自身が魔王であるとの濡れ衣を着せられ、ウラヌスもその仲間と見なされて投獄。一度は逃げ延びたオルステッドもやがて捕らえられ、命を引き換えにしたウラヌスの助けで王城から脱出、アリシア救出を最後の望みとして魔王山に向かう。
だが魔王山の山頂に待っていたのは、死んだはずのストレイボウだった。彼は魔王山の奥に道があることに自分だけが気が付き、魔王山の仕掛けを装って落盤を起こして死んだことに見せかけて、自分が一人でアリシアを救出し、その手柄を自分のものにしようとしていたのである。
国王殺害の濡れ衣を着せたのもストレイボウで、親友であり、ライバルでありながら、常に自分よりも一歩先を行くオルステッドへの、長年溜まっていた劣等感と嫉妬心が彼を暴走させたのである。しかし、魔王山の山頂での戦いでもまた、ストレイボウはオルステッドとの戦いに敗北し、命を落としてしまう。
その直後にアリシアが登場するのですが、アリシアは近寄ろうとするオルステッドを「来ないで!」と叫んで拒絶し、オルステッドとの争いで負け続けたストレイボウの苦しみに共感し、「負ける者の悲しみなんて分からないのよ!」とオルステッドを非難、最後はストレイボウとずっと一緒にいることを選んで、自身に短剣を突き刺して自害してしまう。
その結果、全てを失い絶望したオルステッドは、その激しい憎しみから魔王オディオへと覚醒、ルクレチアの人間を皆殺しにし、さらに戦いに敗れたゆえに「悪」とされてしまった仲間のオディオたちを操って、各時代へと干渉するようになる。
これが中世編の大まかな筋書きである。
アリシアは、オルステッドと婚約した直後に「誰よりもオルステッドのことを信じる」と言っていますし、ウラヌスも死ぬ間際に「自分のことを信じてくれる人が一人でもいるなら、その人を信じるのだ」と語っている。
つまりオルステッドにとっては、アリシアの存在は、自分の助けを信じて待っていてくれるはずの存在であり、特に王殺しの濡れ衣を着せられてからは最後の希望でもあったわけですが、その最後の希望であるアリシアに「裏切られた」ことで、オルステッドは全ての希望を失った。
ストレイボウの裏切りも絡んでくるので、全てがアリシアのせいだったとは言えないにせよ、オルステッドを魔王オディオへと覚醒させるための決定打になったのは、間違いなくアリシアの「裏切り」だったでしょう。
その2へ続く。
アリシアは本当に悪女だったのか?(その2)
その1から続く。
ただアリシアのこの行動には、いくらかの擁護もできる。
まずアリシアはオルステッドと初めて出会ってから魔王山に攫われるまで、わずか半日しか過ごしていない。いくら婚約したとはいえ、お互いが信頼関係を築くにはあまりにも短すぎる。
対してストレイボウは、アリシアとそれなりに長い時間を魔王山で過ごしていたと考えられる。アリシアの心を自分の側に向けさせるために説得するために必要な時間は大いにあったはずだ。
またアリシア自身も、王女という言うなれば「世間知らず」の存在であるため、ストレイボウに同情し、その言葉を素直に信じてしまったとも考えられる。
ただそれでも疑問は残る。アリシアは死んだストレイボウのあとを追うように自害してしまうが、オルステッド同様にストレイボウだって、武術大会で初めて会った相手である。魔王山でストレイボウと過ごした時間だって、恐らくは数日程度だと思われるし、そんな短時間に自らの命を絶つほどにストレイボウに肩入れするようになれただろうか?
またアリシア自身のセリフからしても、ストレイボウを愛していたとかそういったことは読み取れず、ストレイボウへの同情と、オルステッドへの非難しか口にしていない。これもまた、アリシアの自害に結び付けるには弱い気がする。
それにいくらアリシアが世間知らずと言っても、自分を助けに来たストレイボウがすぐに下山しなかったことについても、おかしいとは思わなかったのだろうか?
つまりアリシアの行動は、一応筋は通っているのだが、自分の意思だけでやったとなると、違和感を感じるのだ。
違和感といえば、ストレイボウの行動やセリフにも違和感がある。彼は魔王山の深部で、隠し通路を見つけた時に、オルステッドに対して長年積み重なってきた嫉妬心や劣等感が一気に爆発して、自作自演の落盤を起こしたとなっているが、その後の彼はまるで人が変わったようである。
オルステッドを絶望させるためとはいえ、ルクレチア王を殺すように仕向けているし、魔王山深部での真相を暴露した時にハッシュのことを「ハッシュの野郎が無様に死んだあとだったしな」と、仮にも勇者として活躍した男を平然と侮辱するような言葉も述べているのである。
オルステッド本人に怒りをぶつけるのはまだ分かるとしても、それ以外の人間も侮辱し殺害するほど冷酷な性格に豹変しているのだが、魔王山深部以前の段階で、ストレイボウがそうした性格の人間だったという描写は見当たらない。
このストレイボウも、果たして全て自分の意思で行っていたのか? と考えると違和感を覚える。
だから私はこう思う。確かに彼らの語った動機自体は間違ってはいなかったのだろう。ただ彼らから自制心などの感情のコントロールを奪い、オルステッドが最終的に絶望して魔王に覚醒させるように仕向けた「何者か」がいるのではないかと。
これを示唆しているのが、オルステッドが魔王山に2度目に登る時に登場する魔物たちである。この魔物たち、オルステッドを妨害するように出現はするのだが、「まだまだ、死ぬなよ」などと、オルステッドを山頂へと誘っているかのような言葉もするのである。あたかも山頂には本物の「魔王」がいて、オルステッドの到達を待っているのだと伝えているかのように。
そしてこの魔物たち、ストレイボウに従っているとはとても思えない。ストレイボウは山頂に辿り着いたオルステッドに「お前はここへ来やがった!」と激怒しているからである。ストレイボウはオルステッドに、王殺しの罪を被って処刑されることを望んでいたからである。だから山頂にオルステッドが現れたのは、ストレイボウにとって予想外の展開だったのだ。
ではこの魔物たちを操っていたのは誰なのか? 実はその真の黒幕こそ、ハッシュが20年前に倒した「はず」の魔王だったのではないかと思う。
その3に続く。
アリシアは本当に悪女だったのか?(その3)
その2から続く。
ハッシュは20年前に魔王を倒したとされているが、実は魔王は倒されてはいなかったのではないかと思われる。正確には、魔王を倒し切れてなかった、というべきか。
そのことの前にまず、魔王山の深部にいた『魔王』が何者だったかについて記そう。
ハッシュが20年間に倒した魔王。それは恐らく、最終編に登場するピュアオディオくらいの強さがあったのだろう。だから魔王山の深部で戦った『魔王』のことを「魔王ではない!」と断言したのである。だがその『魔王』は、本当に魔王ではなかったのだろうか?
ハッシュは『魔王』の強さが、かつて戦った魔王よりもはるかに劣っていたことを根拠に「魔王ではない!」と断言したが、逆に言えば、その『魔王』が、本当に魔王ではなかったのかどうかについて証拠があったわけではない。
それにその『魔王』は、ハッシュとウラヌスを一目見てハッシュとウラヌスであることを見抜いているし、ハッシュの側も『魔王』の姿を見て「魔王!」と即座に言っていることから、少なくとも容姿や知識については20年前の魔王のものを受け継いでいるとも考えられる。
さらに決定的なのは、この『魔王』を倒すにはハッシュのデストレイルがどうしても必要な点だ。デストレイルは、魔王を倒した伝説の技とされているが、この『魔王』に対しても非常に有効である。というかこの『魔王』、ハッシュはザコ呼ばわりしていたものの、実際に戦うとかなり手ごわい。攻撃の熾烈さもさることながら、防御の高さもかなりのもので、普通の技ではろくなダメージを与えられない。ただ唯一、デストレイルだけは有効なので、戦い方も必然的にデストレイルを中心としたものとなる。
つまり魔王を倒した伝説の技が唯一有効である『魔王』が、20年前にハッシュが倒した魔王と全く無関係とは思えないのだ。
ではこの『魔王』な何者なのか。それは恐らく、魔王を倒した時に生まれた分身のようなもので、この『魔王』も実は魔王だったのではないだろうか。分身であるためにその力はオリジナルには及ばないが、それでも並みの魔物よりは強い。
この『魔王』の目的は、オルステッドのような激しい憎しみを持った人間を生み出し、それを依り代とすることである。最終編で語られるが、魔王とはいわば、「憎しみ」が具現化したような存在であり、ゆえに完全な復活を果たすには、激しい憎しみを抱いた依り代が必要だったと思われる。
そしてアリシアは、その準備のための駒だったのではないか? 魔王がハッシュによって倒された時に、魔王はアリシアにすでに目をつけていた。そして自らの依り代に相応しいオルステッドが現れた時に、アリシアを魔王山に攫ってオルステッドをおびき寄せ、あとは中世編本編のような展開に持ち込んでオルステッドを絶望させ、オルステッドを魔王へと覚醒させる。全ては魔王が20年前に倒された時から仕組まれていたシナリオだったのではないだろうか?
アリシアがなぜ選ばれたのかについては分からないが、魔王にとっては、誰でもよかったのかも知れない。ただ偶然にも、魔王覚醒の条件をオルステッドが満たしてしまったから、アリシアは犠牲になった。それだけだったのかも知れない。
その4に続く。
アリシアは本当に悪女だったのか?(その4)
その3から続く。
さて魔王山に連れ去られたアリシアだが、実は魔王の計画に気付いていた可能性がある。
オルステッドは夢の中で、今まさに魔王に迫られようとしているアリシアの姿を見るのだが、この時アリシアは「来ないで!」と言っているのである。
この言葉、目の前にいる魔王に対して言っているとするとなんとなく不自然である。今目の前に魔王がいて、その魔王に恐怖を感じているのであれば、この場で相応しいのは「近寄らないで!」とか「助けて!」とかになるはず。しかしこのアリシアはなぜか「来ないで!」と言っているのである。
アリシアが同じ言葉を発する場面がもう一か所ある。それが、魔王山の山頂でオルステッドに叫ぶ時である。この時は近寄ろうとするオルステッドに拒絶の意味で使っているので、それほど不自然には感じない。
同じ言葉をあえて使っていて、一方は不自然で、もう一方は不自然には感じない。私は実はそこに、なんらかの意味があるのではないかと考えた。
私は、実は夢の中のアリシアは、目の前の魔王に対して言っているのではなく、オルステッドに呼びかけていたのではないか考えている。つまりアリシアは、オルステッドが魔王山に来れば、魔王の計画が完成されてしまう。だからオルステッドに魔王山に来てはいけないと警告していたのではないだろうか?
さてストレイボウの豹変についてだが、これも実は魔王が絡んでいたのではないかと考えられる。魔王山深部にいた『魔王』は、オルステッドらによって倒される。しかしここでもまた、『魔王』は完全に倒されることはなく、そのまま精神体のような姿になってストレイボウに憑依、あるいは精神に影響を与え、ストレイボウの中に溜まっていた負の感情を刺激して、裏切りを促していたのではないだろうか?
そしてストレイボウの死後、今度はすぐさま魔王はアリシアの負の感情を刺激してアリシアを自害させる。上記の通りアリシアは、魔王の計画に気付いていた可能性があるが、ストレイボウに同情していたことも確かで、暴走した負の感情に耐え切れずに自害してしまう。これで魔王の計画は完成し、最後に絶望のどん底に堕ちたオルステッドに魔王が憑依して同化、オルステッドは魔王オディオとして覚醒する。
これが中世編にいた魔王が起こした惨劇の真相だったのではないだろうか?
その5に続く。
アリシアは本当に悪女だったのか?(その5)
その4から続く。
さて、それでは物語の核心に迫ろうと思う。ハッシュやオルステッドは、なぜ魔王を倒し切れなかったのか。実はこれは、ハッシュが使うデストレイルに真相が隠されているのではないかと思う。
このデストレイルという技は、魔王を倒した伝説の技とされているが、そのわりにはかなり禍々しい技である。エフェクトも不気味だし、属性も「悪」になっている。しかしこの技は実際に魔王に対して大ダメージを与えることができる技なので、20年前の魔王も、中世編本編の『魔王』も倒すことができた。
しかし、魔王の正体は言わば「憎しみ」が具現化したような存在である。憎しみに憎しみをぶつけて、一時的に勝利することはできても、滅ぼすことはできず、決定的な「勝利」を得ることはできないのではないだろうか?
そう、デストレイルがこれだけ禍々しい技なのは、実はこの技の使い手であるハッシュが、憎しみを糧に編み出した技だったからではないだろうか?
ハッシュがどうして魔王と戦う決意をしたのかは定かではないが、もしかすると、誰か愛する人を失うなどして、魔王に憎しみを抱いたからではないだろうか?
そして憎しみを糧にデストレイルを編み出したが、それでは憎しみに憎しみをぶつけるだけで、魔王を完全に倒すことはできない。そのことに気付かないままデストレイルで魔王を倒してしまったので、魔王は肉体は失っても滅びることなく存在し続けた。そして魔王山深部でも同じ過ちを犯したので、魔王は滅びず、ストレイボウやアリシアの精神に影響を及ぼすことができたのではないだろうか?
これらが、魔王山で起きた事件の真相だと私は思う。
デストレイルがなぜ魔王に対して有効なのかについては、過剰な憎しみで肉体を維持できなくなり、内部から肉体が破裂してしまうから、などと考えることができる。
逆に最終編では、主人公たちは憎しみに依らない力で戦い、「勝利」した後に魔王と化したオルステッドの「心」も救ったことで、最終的に魔王を滅ぼすことができたのではないかと思われる。
最後に。アリシアは心のダンジョンの最深部で、オルステッドを止めてほしいと主人公たちに懇願する。アリシアが自分の意思だけでオルステッドを裏切ったのであれば、これは身勝手な要求と一蹴することができるが、彼女もまた魔王の一件に巻き込まれた哀れな犠牲者とみるなら、アリシアの言葉の印象も変わってくるのではないだろうか?
少年の日の思い出
図書館で、よく中学校の教科書に載っている、ヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」を見つけたので、借りて読んでみました。
この話は、語り手の「ぼく」の視点で書かれているので、エーミールは嫌なやつだと書かれているけど、果たしてエーミールは本当に嫌なやつだったのかと言うと、私にはそうは思えないんだよね。
「ぼく」がエーミールのことを、嫌なやつと思っていた理由は、模範生徒であり、優れた標本作成の技術を持っていたことや、自分の部屋を持てるほど裕福だったことなど、どれも一方的な嫉妬ばかりで、エーミール自身が「ぼく」のことを見下していたとか、嫌がらせをしていたとか、そういうことではなさそうなんだよね。
エーミールの側からすれば、単に自分の生き方が、はたから見ると模範的だっただけで、特別「ぼく」や他の人たちを意識していたわけじゃない。蝶の収集にしても、「ぼく」はエーミールの標本作成の技術に嫉妬していたけど、エーミールからすると、「ぼく」のことは、同じ蝶の収集を趣味としていたので、むしろ好意的に見てたんじゃないかなと。
で、「ぼく」が珍しいコムラサキの標本をエーミールに見せたのも、エーミールが悔しがる姿を見てみたい、優越感に浸りたいなどの気持ちがあったからなんだろうけど、エーミールは「ぼく」の期待に反して、その珍しさを認めながらも、展翅の仕方などを批判した。
「ぼく」の側からすれば、元々嫉妬というフィルターが心にかかった状態でエーミールを見ていたから、エーミールの批判を悔しさからくるあら探し、みたいに解釈したんだろうけど、エーミールの側からすると、こんな珍しい蝶を手に入れたのだから、もっと大切に扱うべきだって指摘しただけだったんじゃないかな。
その際エーミールは、先生の息子だそうだし、言い方が教師っぽくなってしまったのかも知れないけど、悪意があって言ったのではではなかったんじゃないと。
さらに言うと、脚が2本欠損していたという指摘は、後注によると、コムラサキの脚は2本が退化していて、あたかも欠損しているように見えるので、実は見間違いだったのではないかと書かれている。
ここからは完全に想像だけど、もしエーミールがそのことに、のちに気がついたなら、そのことについては「ぼく」に間違いだったと謝りたいと思ったかも知れない。完璧主義者っぽく描かれているエーミールは、自分が間違えたことに気がついたなら、そのことを放置するのは許せない性格なんじゃないかなって思う。
クジャクヤママユの標本は、そのきっかけになるはずだったのかも知れない。その標本を「ぼく」に見せることをきっかけにして「実はあの時のことは……」と話を切り出すつもりだったのかも知れない。
でも「ぼく」はエーミールに対して、最悪の裏切り行為をしてしまった。それでエーミールは、「ぼく」に対して抱いていた感情を180度変え、「ぼく」のことを本当に見下して、軽蔑するようになってしまった。
「ぼく」が一方的に抱いた嫉妬心が、エーミールとの関係を、永久に破壊してしまったと言える。
ちなみに「ぼく」は、クジャクヤママユの標本を壊してしまった時、どうすればこの標本を直せるかとか、どうすれば償えるかとか、そんなことばかり考えていて、エーミールの心を傷つけてしまった、ということには一切触れてないんだよね。自分が壊したことを白状したあとも、言い訳を始めようとしていたし。エーミールは「ぼく」の反応からそのことを見抜いたからこそ、徹底的に冷酷に軽蔑したんじゃないかな。
「ぼく」がエーミールの心を蔑ろにしたことで、自分にもエーミールにも、癒すことができない深い傷をつけてしまった。そんな話だったんじゃないかなって思う。
ヤマノススメ サードシーズン 第3話「飯能にアルプス⁉︎」
3話にしてOPが変わっていた。
歌いながらここなちゃんが現れた時には、まるでラスボスが降臨したかのような凄まじいオーラを感じた……。その後も常にあおいちゃんを余裕でリードしてたし、相変わらずの完璧超人っぷりを披露していたな。
原作だとあのザックの中にさらにコンロとか入れてるから、やたら重たくなっているんだよな。
宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第五章「煉獄篇」
ヤマトのシリーズでは、主役であるヤマトを引き立たせるためもあってか、地球艦隊は負け戦を強いられることがほとんどなのですが、旧作の「さらば」と「ヤマト2」では、地球艦隊がガトランティスのバルゼー艦隊を打ち破るという、珍しく勝利する戦いが存在します。で、今回はまさにその場面なのですが、地球側には時間断層なんていう反則が存在するので、凄まじい数の波動砲を搭載した艦船でバルゼー艦隊を叩き潰すという、まさに数の暴力というべき戦いが繰り広げられました。バルゼー艦隊側も、イーターなんていう対波動防壁用の新兵器を投入して対抗するものの、やはり数の暴力と波動砲の破壊力には敵いませんでした。最もその後の展開は、察しの通りですが。
デスラーの背後関係や、キーマンの正体が判明するなど、ガミラス側の事情が明かされましたが、ギムレーが生きていたのは予想外でしたね。ただ、親デスラー派とか、なんか唐突に話に出てきたので、ギムレーが黒幕でしたなんていきなり言われても、なんかピンと来なかったうえに、あっという間に逮捕されてしまったので、おまえなにしに出てきたんだよ、って感じでした。あとデスラーに関して言えば、新旧どちらも、ガミラスの民を滅びの未来から救うために、新たな移住先を求めていたという点では同じでしたが、自らの信念に揺るぎがなかった旧作とは対照的に、自らはガミラスの民を率いる器ではないと思い、独裁者と非難され苦悩しながらも、血の盟約に従って指導者として君臨していたという、複雑な内面を持った人物として描かれてましたね。これに加えて、スターシャとの関係とかも絡んでいるのでしょうけど。
ガトランティスって、アケーリアスをはじめとした他文明の技術を奪ったり、ガミラスの技術奴隷のような他文明の人間に兵器を開発させたりもして、高い技術力を持っているのですが、波動砲だけはデスラーの旗艦以外では使われてないんですよね。多分波動コアを開発することができなかったのでしょう。地球側は、ガミラスから波動コア製造の技術を提供されたか、あるいは宇宙最高の頭脳を持つ天才技術者真田志郎によって波動コアを複製することに成功したか、のどちらかでしょうね。
ズォーダーの側近のガイレーンがなんか怪しいと思う。サーベラーと透子が共鳴した時に、一人だけ状況を完全に把握していたみたいだし、なんの伏線もなくいきなり時間断層のことを見抜いたり、色々知りすぎている気がする。こいつが本当の黒幕なんじゃないかな?
雪がヒロインのはずなのに、四章から一気に影が薄くなったな……。