Primitive Ocean

 元々はゲームとアニメの感想を書いていたのですが、現在はほぼアニメ(ただし更新頻度は遅い)。あとたまに映画とか。

School Days 第十二話「スクールデイズ」(最終回)

 観ましたよ、ええ。なんですかこれは……。これが本来地上波で流す予定だったなんて信じられんな。このアニメがスタートした時に、原作の3つのバッドエンドを全部纏めてくるんじゃないかなんて冗談半分で書いたのですが、まさか本当に纏めてくるとは……。最も、言葉は自殺してはいませんが、あれじゃあ死んだも同然だからなぁ。単にグロいとかいうのであれば、これを上回る描写をするアニメはいくつもあるんでしょうけど、普通の日常を過ごしていたはずの人間たちが、様々な要因が重なってついには暴走してしまうっていうところに、じわじわくるものがありますね。
 さて、これまでは誠の最低のクズ野郎っぷりが前面に出ていた(まあ今回も世界に逆ギレしてたけど)ために隠れていた印象がある、世界の偽善者っぷりが言葉の告発から一気に暴露されていく展開になりましたね。
 実際世界は、誠が欲しいという欲求ばかりを優先させて、周りの人間の気持ちとか立場とかを顧みないで行動していた。要するに、自分の事しか考えてなかったんですよね。だから刹那の気持ちを知りながら刹那を裏切り、言葉と誠をくっつけておきながら誠を奪い、悪いことだと頭で分かっていながら、誠が望んだことだからというのを免罪符に誠と結ばれようとした。そもそも冒頭のキスからして、ようやく言葉と付き合い始めた誠にあのタイミングでキスなんてしたらどうなるのかなんて、ちょっと考えれば分かりそうなものなのに、その事を考えずに行動している。
 世界の行動は、意識して行動しているというよりも、誠への欲求が彼女自身を無意識的に行動させている感じがあるんだよな。ゆえに世界は「そんなつもりじゃなかった」と釈明する。でも意識的であれ無意識的であれ、結果的には刹那や言葉を裏切ってきたんだし、それが誠が欲しいという欲求から来たものっていうのも事実なんだよね。
 そして言葉が言った「中に誰も居ませんよ」というのは、実際のところ本当だったのかもしれない。乙女と誠が寝ていた場面を目撃して、誠を自分だけのものにしたいというよりいっそう強い欲求が生まれ、そのための武器が欲しいという無意識の願望が想像妊娠というかたちで現れたというのは十分考えられると思う。まあ言葉は世界を殺した時に精神崩壊を起こしていたし、それ以前にあんな鋸なんかで切り開いてまともに中を確認できるかどうかとか色々問題があるので、あの時の言葉が観たものがなんであれあまりアテにはならないんですが。ただ言えることは、虚か実かは別として、世界はその妊娠を武器に誠に迫っている。つまり世界にとっては、それが切り札だったんですね。だが皮肉にもそれは結局誠を追い詰めるだけで、その追い詰められた果てに誠は自分の過ちに気がついて、言葉との関係を再構築してしまったのですが……。
 で、世界にとって、言葉側に心が大きく傾いてしまった誠を引き戻す唯一の武器もまた妊娠だったのですが、それがもし世界の勘違いだったとしたら、もう誠を自分の側に引き戻すことはできない。なにしろあの優柔不断で、今まで妊娠という事実から逃げ回っていた誠が、あれだけはっきりと病院だのなんだのという話を切り出してきたんだから。最も、あれは言葉が妊娠は嘘だと決めつけて、その証拠欲しさに誠を唆したというのもあるだろうけど。いずれにせよ、妊娠が勘違いであることを恐れる世界は病院で確かめることができない。それにもし妊娠が本当だったとしても、誠が次に言い出すことがなんであるかは予想できる。そんな絶望感と誠への想いが爆発して逆ギレし、誠を殺すという事態にまで発展したのでしょう。刹那も言っていたように、世界は誰かが支えなければ立ち直れないタイプの人間なので、刹那もいないこの状況では、誠以外に頼れる人間はいない。その頼れると思っていた誠が自分を拒絶してきたのだから、そこからくる絶望感は相当なものだったでしょう。
 けどだからといって、今まで自分がやってきたことを棚に上げて、都合の悪いことを全部誠に押し付けるかのように滅多刺しなんていくらなんでも身勝手すぎるだろう。確かに優柔不断な誠が色々問題を作っていたのは事実だし、妊娠が本当だったならその最大の責任は誠にあるでしょうけど、なら世界になんの責任もないのかというとそれは違うでしょう。刹那の件といい、言葉の件といい、ここまで事態が悪化したことの責任の一端は世界だって担っている。「自分だけ桂さんと」って言う台詞は、そっくりそのまま世界に返せることだし。
 結論としては、誠がもっとしっかりしていれば回避できた悲劇だけど、その誠が間違った道へと足を踏み込んでしまった原因の一部は世界にある。つまり誠と世界が二人して事態をどんどん悪化させていき、最終的にはああいった悲劇的な結末を招いてしまったんでしょうね。それと結局、誠も世界も、今まで自分たちが犯してきた罪ゆえにその罰を受けたとも見ることができますね。ただその罰は本人たちに降りかかるだけでなく、関係者をも巻き添えにしたものでしたが。ある意味この事件の一番の被害者は言葉だし、姉が殺人者になってしまった心も被害者だし、大切な人を二人もまとめて失った刹那もそうだしなぁ……。悪いことをした報いは、自分たちに跳ね返ってくるだけじゃ済まされないんだな。