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Primitive Ocean

 元々はゲームとアニメの感想を書いていたのですが、現在はほぼアニメ(ただし更新頻度は遅い)。あとたまに映画とか。

心が叫びたがってるんだ。

映画

 1日に観に行ったのに、書きたいことが山ほどできてしまって、結局すぐには投稿できなかった。いや良い映画だった。まあ私も色々映画とか観てきてるから、どうしてもどこかで見たような展開だなぁ、って思っちゃう場面もあったし、その設定無理がねぇか、っていうものもあったけど、それでも良い映画だったって思えるのは、構成や演出の上手さと、なにを伝えたかったのかがはっきりしていたからなんだろうね。あと順ちゃんがかわいい。
 まあ2時間という枠で納めなければならないという制約があるため、というのもあるけど、この映画には無駄なシーンが一切存在しないんだよね。どのシーンにも必ずなにかしらの意味合いがあって、最初観たときは、なんでここでこんな描写があるんだ? って思うようなものも、後々考えるとちゃんとした伏線になっていたりするわけで。それが綺麗に組み合わさっているところは上手いと感じましたね。あと順ちゃんがかわいい。
 この映画のテーマっていうのは、たとえ裏切られたとしても、その相手が本当に「好き」なら、最後まで信じてやることだ、ってことなんだろうと思う。映画の中に出てくる良いことも悪いことも、結局はそこに帰結しているんだよね。言葉が喋れなくなる呪いとか、玉子の妖精とかは、テーマを描くための小道具みたいなものだし。あと順ちゃんがかわいい(大事なことなので3回言いました)。
 作中に登場するミュージカルは、現実世界の投影みたいなものなんだけど、ここで重要なのは、ストーリーを書いているのが順だっていう点。つまり順の視点で書かれているため、順が勘違いしていることまで話の中に組み込まれてしまっているんだよね。順が勘違いしていることは2つ。1つは、拓実が順の「王子様」である点。もう1つは、順の言葉が周りの人を傷つけているという点。特に後者は、明らかに順の言葉が周りの人たちの心を良い方向に動かしているのに、肝心の順自身がいつもその場から走り去っているため、悲しいことにそれに気が付いていないんだよね。そしてそれが終盤の展開に密接に関わってきてくるんですね。
 順と拓実が結ばれなかったという結末は、ある意味必然だったと思います。順は拓実のことを、自分の「王子様」だと思っていた。でもこの映画において、「王子様」っていうのは常に否定的な存在として描かれている。全ての発端になったあの「城」での出来事もそうだし、玉子の妖精も、父親が最後に残した「呪い」を順自身によって具現化してしまったようなものなので、あれもある意味では「王子様」なんですよね。というか文字見れば分かるし。
 んで、順は自分を気にかけてくれる拓実のことを「王子様」だと思うようになるんだけど、それは順の勘違いで、拓実が順を気にかけていたのは、似た境遇にあったからであって、恋愛対象として見ていたわけではなかった。その事実を突きつけられた順は、自分の「王子様」が現れることを願ってあの「城」に逃げ込む。しかしそこに現れたのは拓実であった。拓実は順の「王子様」ではない。ゆえに拓実を順は拒絶するんだけど、そこで彼から、順の言葉やひたむきな姿が周りの人たちに影響を与え、一つにまとめていたという事実を聞かされる。自分の言葉が周りの人を傷つけていたと思っていたのが間違いだったと気付いた順は、拓実への想いを振り切り、「王子様」の呪縛を断ち切って、自分を信じて待っている仲間たちを信じて舞台に立つ。細かい描写の分析とかあれこれ考えたんだけど、それを書き連ねるとものすごく長くなるので、まあ大まかに書けばこんな感じで。
 話の主軸が順と拓実にあるから、目立たないんだけど、大樹が順を好きになっているっていう描写もきちんと描かれているんですね。というか、あの4人の中で、それぞれの気持ちを一番理解しているのが、実は大樹なんですよね。菜月の気持ちも最初から見抜いてましたし。大樹はなんか怒りっぽいって印象があるけど、あれは自分の置かれている状況ゆえの八つ当たりみたいなもので、彼が本気で怒っているのって、ミュージカル本番直前の場面だけだと思うんですよね。大樹は順が拓実のことを好きだって気がついているから、不用意な言動と思わせぶりな態度で、結果的に彼女の心を傷つけた拓実と菜月に対して、あの時本気で怒っていたと思うんですよ。でもその後、あくまで舞台の完成を最優先としているあたり、順がなにを望んでいるのかまで理解しているんですよね。漢だ……。
 順が言葉を発するたびに腹痛に襲われるのは、多分相田みつをの「ひとりしずか」を意識している設定なのではないかと。言葉を発しない自分こそが自分の在り方なんだと思っている順にとって、言葉を発する→腹痛に襲われる→トイレの中という「孤独で、自分が自分になるところ」に逃げ込むことによってあるべき姿に戻ろうとする、ということなのではないかと。逆に、順の玉子が割れ始めたのは、自分のかたちが変わり始めたからってことなんじゃないかと。というかこの作品全体が「ひとりしずか」を意識しているのではないかと思うのですが。「自信はなくてうぬぼればかり」とか「その時の出逢いが」とか。
 キャストではやっぱり水瀬いのりさんの迫真の演技が印象に残りましたね。難易度ルナティックみたいな役をきっちりこなしてましたし、終盤の順が吹っ切れる場面とかは壮絶でしたし。あとは藤原啓治さんがいい味出してましたね。ってかどっちもうたわれに出てるじゃんw
 まあなんにせよ、順ちゃんがかわいかった。というか順ちゃんかわいすぎるだろ常考。特に照れてるところの破壊力は凄まじい。最初の頃は「その女」呼ばわりしていた大樹もこれにノックアウトされたんだろうな。順ちゃんマジ天使。あんな娘が頑張ってる姿を見せられると、やっぱり応援したくなるよね。……大樹、順のこと幸せにしてやれよ。