Primitive Ocean

 長文になる時用のブログ。

アンダンテ 〜稲の旋律〜

 親父の知り合いが製作に関わっているそうなので、製作協力券で12日に観てきたのですが、なかなか素敵な映画でした。仕事帰りだったんでちょっと眠かったんですけど、観始めたら一気に作品に引き込まれてそんなことはどっかに行ってしまいましたね。エンドクレジットの直後に拍手が起こったのですが、確かにそうしたくなると思える作品でした。ひきこもりだった女性が、農業を通じて人間性を取り戻していく過程を、日本の農業問題などを絡めつつ描いた作品なのですが、奇抜な展開などに頼らず、一つ一つのシーンが丁寧に描かれていて、それらが無理なく積み重ねられて作品を形作っていました。アンダンテとは音楽用語で、「ゆっくりと。歩く速度で。」という意味で、作品に込められたメッセージも、ゆっくりでもいいから自分のペースで人生を歩んでいけばいいんだよ、というものでしたが、ひきこもりについてはまさにその通りだと思いましたね。私もひきこもり、とまではいかないのですが、それに近い状態になったことがあるんですよ。私の場合、なまじ「このままではいけない」という思いがあったため、なんとかしようなんとかしようと思うのですが、そのたびに全身の細胞が一斉に拒絶するような感覚に襲われて結局なにもできなかったんですよね(そんな状態に理解のない人間から心無いことを言われたこともありますが。まあその中には、「障害者は感情を持っていない」とか言い出す正真正銘の○○○とかもいましたが)。結局その問題も、焦らず少しずつ時間をかけることで解決することができましたが。だから、焦ってもどうにもならないことは、どうにもならないんですよ。どうにもならないってことを受け入れて、一歩ずつ歩いていくしかないんですよね。